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2008年06月21日

中の町の街路樹


中の町の街路樹


フォト&文 川上真理子




コンクリートの街に、容赦なく襲いかかる島の太陽。

陽炎をさけて街路樹の下を歩く。とても静かだ。時折車が行き過ぎるだけで、人の姿はない。まるで死んだ街。

しかし、南の島の太陽が海に隠れ、涼やかな風が吹き出す時間になると、町は少しずつ姿を変える。居酒屋の赤い提灯、アメリカンバーの派手なネオン、スナックという名目で女たちがはべるクラブの気取った灯。

街が化粧を終えた頃、女たちもまた着飾り、子どもを預けて出勤する。この街で働く女の7割が母子家庭と言われている。

深夜。狭い街路樹の下をタクシーが頻繁に行き交うなか、声高に行き過ぎようとする男たちに、呼び込みのニーニーたちがしつこく付きまとう。相手がウチナーであれアメリカーであれ関係ない。

呼び込みたちは、耳元につけた無線で店内に連絡する。それは見事な連携プレー。たまに廻ってくるパトカーも、この手でかわしている。

彼らがタムロする横で、かなりの年齢だろうと思われる女たちもまた、客引きに精を出す。彼女たちのターゲットは、同年齢の酔客だ。懐の暖かそうな千鳥足を見つけたら、その腕をガシッとつかんでウチナーグチでまくし立てる。

このような光景が、二時、三時まで繰り広げられる夜の中の町。明け方が近づく頃、ようやく町は静けさを取り戻す。

それでも、バーのドアをくぐってみれば、仕事を終えたスナックの女たちや、飲み足りない酔っ払いたちがカウンターに陣取っている。ここでも男と女の駆け引きが繰り返され、誰かが笑い、誰かがわめき、誰かが泣いている。バーのオーナーの仕事は、彼らの吐き出すゴミを受け止めることなのだ。

朝の太陽が静かに街を照らすころ、夜の町に捨てられた重荷と愚痴と、長年の不摂生で疲れた体を抱えて、バーのオーナーたちは家路につく。

明るくなった通りの、街路樹の下に、客にあぶれた初老の女が立っていた。


タグ :コザ文学賞

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